山形県漁業協同組合様 〜基幹サーバのスムーズなクラウド移行を実現〜

写真左より/山形県漁業協同組合 総務部管理課 課長 本多 篤氏、齋藤 佑紀氏写真左より/山形県漁業協同組合 総務部管理課 課長 本多 篤氏、齋藤 佑紀氏

山形県漁業協同組合ロゴマーク

1965年の設立以来、60周年を迎える山形県漁業協同組合(以下、JFやまがた)。本部に設置した物理サーバで、スクラッチ開発した基幹システムを運用していましたがサーバ機器がリースアップ。日本事務器の提案を受け、災害対策と運用負荷軽減の観点からサーバインフラをクラウドでの運用に移行しました。その経緯と効果について、担当者に詳しく聞きました。

 漁業者による協同組合組織「JFやまがた」

 本部で運用していた基幹システムのサーバをAWSに移行

 BCP対策の強化をめざし、クラウド移行を検討

 実績のあるEzharnessなら安心

 管理負担の削減、サポートの迅速化、セキュリティの強化を実現

 安心して移行作業を進められたことを感謝

 

漁業者による協同組合組織「JFやまがた」

JFやまがたについてご紹介ください。

JFやまがた 本部社屋の様子JFやまがた 本部社屋の様子

JFやまがたは1965年、全国初の1県1漁協として、明日の魅力ある漁業と豊かな漁村づくりをめざして組織された協同組合です。8つの漁港を持つ組織として発展してきました。

水産資源の持続的利用を可能とするための漁場管理を行うとともに、漁業者自らが漁業の成長産業化と継続可能な漁業の確立に向け取り組んでいます。また、安全・安心な水産物の安定供給や海洋環境の保全・国境監視機能などの多面的な機能を発揮するとともに、地域社会における経済・文化面での貢献など多岐にわたる期待や要請に応えることが組織としての果たすべき使命と考えています。

具体的な事業としては、漁業専門の金融機関として「信用事業(JFマリンバンク)」をはじめ、「共済事業(JF共済)」、魚価の向上を図り県外誘致を図る「販売事業」、漁業用の燃料油や資材から生活物資まで安定供給を目的とした「購買事業」、生産用氷の安定供給を図る「製氷事業」、加工製品の開発・拡販を推進する「加工事業」、資源管理型漁業・栽培漁業の推進と漁場環境の保全に取り組み、広報紙による情報提供を展開する「指導事業」を通じて、大切な海を次世代に引き継ぎ活気ある浜づくりをめざしています。

本部で運用していた基幹システムのサーバをAWSに移行

今回、クラウドへリフトしたシステムについて教えてください。

本部社屋のラックに設置し、運用していたシステムの物理サーバをクラウドのAmazon Web Services(以下、AWS)に移行しました。サーバでは、当協同組合オリジナルで開発した基幹システムがメインで稼働していました。基幹システムの主な機能は以下のとおりですが、移行に際して機能的な面は一切変更・修正は加えていませんし、操作方法にも変更はありません。

  • 購買管理:漁業者・業者からの水揚げ仕入、資材料販売
  • 製氷管理:漁業者・業者への氷(船内、保冷用)の販売
  • 冷凍保管庫管理:保管商品の預かり管理
  • 販売管理:取引先への魚の販売
  • 加工場管理:水揚げした魚の一次加工
  • 信用管理:金融部門の信用管理
  • バックアップ:各機能のデータをバックアップ

山形県漁業協同組合 総務部管理課 課長 本多 篤氏山形県漁業協同組合 総務部管理課
課長 本多 篤氏

クラウドに移行するにあたって、基幹システムに変更は必要なかったのでしょうか。

基幹システムは順調に稼働しており、当組合の業務に合わせて設計されているので、移行後も変更する必要がなく、むしろ機能や使い勝手が部内のサーバであれ、クラウドであれ、そのままであることが条件のようなものでした。

ただし、機能面ではそのままでも、設定の変更というか、調整は必要とのことでした。正直、当社だけで調整するのは難しかったかもしれませんが、日本事務器が事前に準備をして設定変更をサポートしてくれたので特に面倒なことはなく、移行期間も実質1ヶ月間ほどで済みました。

使い勝手の面では、オンプレミスで運用していたのと比較すると、当初、一部の機能で反応が遅くなることもありましたが、日本事務器に調整をしてもらってほとんど問題なく利用できています。

BCP対策の強化をめざし、クラウド移行を検討

基幹システムのサーバ環境を、クラウドに移行した理由を教えてください。

旧サーバ機器がリースアップすることが移行を検討するきっかけとなりました。新しいサーバの見積もりを依頼したところ、合わせて提案を受けたのがクラウドへの移行でした。当初は、これまで通り新しいサーバ機器をリースするつもりだったのですが、下記の3つのポイントからクラウドへ移行するに至りました。

【ポイント1】データの安全性向上

クラウドの提案を受けたとき、第一に興味を持ったのが基幹システムのデータをクラウドにバックアップできることでした。当組合では、これまでサーバもバックアップも本部の社屋で運用していましたので、津波などの大きな災害などが発生して本部社屋に被害を受けた場合、データやシステムを一緒に失ってしまうリスクがあります。2024年に発生した能登半島における大地震の影響は小さかったものの、当組合にとって対岸の火事ではなく、明日来るかもしれないリスクだと考えていました。

基幹システムのデータやシステムを失えば、事業の継続はもちろん、復旧さえも難しくなります。遠隔地でデータをバックアップできることは知っていましたが、新しい機器を導入したりせず、低コストで災害の直接的な影響がない離れた場所にシステムとデータが存在するのは安全だと考えました。

山形県漁業協同組合 総務部管理課 齋藤 佑紀氏山形県漁業協同組合 総務部管理課
齋藤 佑紀氏

【ポイント2】BCPの強化

システムはリアルタイムで更新されるわけではなく、インストールし直せば済むという考え方もあります。当初は、物理サーバのまま運用し、データだけ外部に保存すれば良いと考えていました。

しかし、実際に被害にあったときを想定すると、新しい機器を用意した上で、システムをゼロから導入しなければなりません。時間がかかります。加えて、自分たちの手に負えないかもしれないので、専門家に依頼しなければならない。混乱しているタイミングで、迅速な対応を望むのが難しいかもしれないので、データが無事でも、さらに復旧が遅れる可能性があります。その点を考慮すると、基幹システムをクラウドに移行するのは、復旧の面でもメリットがある提案だと考えました。

【ポイント3】同等のコストで価値あるインフラを実現

新しくサーバ機器をリースするコストとクラウドを利用するコストが同等であり、基本的な機能に差異が無ければ、BCP対策や拡張性などを備えたクラウドのほうがコストパフォーマンスが高いと考えました。

また、基本的な運用はクラウドベンダーに任せ、手元でサーバを運用し故障をチェックする必要がなく、さらに約5年ごとにリースの見直しが不要なクラウドのほうが、専任のエンジニアのいない当組合にとってメリットが多いと判断しました。

実績のあるEzharnessなら安心

クラウドとして、AWSを選んだ理由を教えてください。

クラウドに詳しいわけではないので、AWSと他のベンダーとの細かな違いを詳しく説明できるわけではないのですが、少なくともAWSは実績面も、機能面でも、知名度でも世界のトップレベルのクラウドサービスであり、信頼できると考えました。

AWSを利用する上で、日本事務器のEzharnessを選んだ理由を教えてください。

先にAWSを選択したわけではなく、日本事務器からのEzharnessの提案で結果としてAWSへの移行となりました。日本事務器は基幹システムの開発を行い、長年にわたりサポートしてくれているベンダーです。そういうベンダーが自信を持って勧めてくれる提案であり、クラウドをインフラとした開発や運用、移行実績も多いことから信頼できます。システムも複雑で、開発に携わった社員も退職していることから、日本事務器のサポートは必須要件だと考えました。

管理負担の削減、サポートの迅速化、セキュリティの強化を実現

サーバをクラウドに移行した効果があれば、教えてください。

サーバ移行の目論見通り「BCPの強化」をはじめ、「管理負担の削減」、「サポートの迅速化」、「セキュリティの強化」といった効果が見受けられます。

【効果1】BCPの強化

機器の故障や大規模な災害時におけるデータやシステムの安全性や継続性が高まり、それが当組合の事業継続性の向上に貢献しています。そして、システム担当者としては、手間も、時間も、大幅なコストもかけずに実現したことも重要な効果だと捉えています。

【効果2】管理負担の削減

物理サーバの運用が必要なくなったことで、サーバの稼働状況を監視したり、気にしたり、故障の際に連絡を取ったりする必要がなくなりました。

【効果3】サポートの迅速化

サポートに関して、すでにリモートでメンテナンスをお願いしていましたが、どうしても組合本部に足を運んでもらう必要がある場合もあり、時間がかかると感じることもありました。ネットワークのトラブルは別ですが、サーバやアプリケーションのトラブルはフルリモートでサポートしてもらえるので、サポート面で迅速な対応が期待できます。

【効果4】セキュリティの強化

当組合には、セキュリティ専門で担当している職員が特にいないので、セキュリティ対策をAWSの専門家に任せられるのは安心であり、セキュリティ対策が向上すると捉えています。

【効果5】指導機関からの評価

効果というと少し大袈裟かもしれませんが、今回のクラウドへの移行について、指導機関である「JF全漁連」とか、「農林中央金庫」などからは評価の声をいただいています。

安心して移行作業を進められたことを感謝

今後の展開予定などがあれば教えてください。

長い期間、同じ基幹システムを使っているので、いずれかのタイミングで更新も考えなければいけないと思っています。

日本事務器への評価や要望、期待などがあればお聞かせください。

日本事務器にサポートしてもらったおかげで、安心してスムーズな移行ができたと感謝しています。当初は、サーバの入れ替えのみと考えていたのですが、クラウドへの移行を提案してもらい、検討に時間がかかってしまいましたが、決まってからは迅速な動きで移行を手伝っていただきとても助かりました。

人材不足の中、専任のエンジニア等を簡単に採用などができない状況で、技術的なサポートを受けられるのはとても助かります。ぜひ、これからもこれまでと変わらない対応を期待しています。

 


山形県漁業協同組合
■ 本社所在地:山形県酒田市船場町2-2-1
■ 代表者  :代表理事組合長 本間 昭志
■ 設立   :1965年7月
■ 事業内容 :信用事業、共済事業、販売事業、購買事業、加工事業、指導事業

※ 取材日時 2025年3月
※ 本事例中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。(数字の一部は概数、およその数で記述しています)
※AWS、Amazon、Amazon Web Servicesは、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。


更新日:2025年07月16日

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